スティーブ・ジョブズの訃報に触れて
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アトランタから帰国して、iPhone4Sの発表を見て、少し寝て『少女自転車解放区』の打ち上げに行って、帰宅して、時差ボケのせいかそのまま眠れずに朝になってしまった。窓を開けると蝶がふらふらと飛んできて、ベランダの手すりにとまって羽を休めた。蝶はしばらくするとまたふらふらとどこかへ飛んで行ってしまった。
しばらく空をぼんやり眺めて、部屋に戻るとTwitterのTLにちらほらとジョブズ死去のニュースが流れ始めていた。
呆然としてしまった。まだあと5年か10年くらい先の事だと思っていた。というか、思おうとしていた。
18年前、初めてMacに触った時の衝撃を今でも憶えている。当時僕が使っていたPCは機械の都合や理屈にこちらが合わせなければ使えず、創造的な作業をするにはまだちょっと不向きだった。僕はそういう理不尽で統一性のないPCとの格闘をパズルのような感覚で楽しんではいたけど、それはコンピュータを使うためにコンピュータを使っているにすぎず、創造にはなかなか結びつかなかった。Macに触れて初めてコンピュータは絵筆や鉛筆と同じような創造のための道具になりうるのだ、と直感的に確信した。受験のために水彩絵の具を使い、大学では岩絵の具を使ってきたけど、イラストはMacで描こうとごく自然に決意した。いや、決意するまでもなく自然にそうなってしまった。
Appleは、世界中の人々の生活を一変させてしまうような製品を何度も世に出してきた。既にそこにあるものを違う視点で捉え直し、新しい価値を見いだし、優れたデザインと操作性で誰にでも使える製品として再発明する。個人的には、Appleの良さは発明する会社ではなく再発明する会社だという事で、ジョブズも発明家ではなくビジョンを提示し、そこに至る道筋を考え出す人、だと思う。
道路がなければ乗用車がその価値を発揮できないように、どんな優れた技術も、優れたコンセプトやデザインや操作性や宣伝やパッケージがなければ誰の元にも届かない。そんな当たり前で、だけど軽んじられてしまいがちな事を、本当に真摯に人生をかけてやりきったのがジョブズだった、と思う。
まあ、きっと本人は無茶苦茶な人で。若い頃は電話タダかけ機を作ったり、マウスやGUIだってXEROXからかっぱらってきたみたいなもんだし、過剰に神格化するのもおかしいとは思うんだけど、そういう時代を経て今の円熟に至ったAppleの製品とジョブズから、自分が作家として生き残っていくために必要な事をずいぶんたくさん学んだ。 Macに触れる事が楽しかったおかげで、日々モニタに向かって絵を描く事を楽しいと思い続ける事ができた。
ありがとう。そして安らかに……いや、できたら天国でもそこの生活を一変させるような何かを作っていてください。
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スティーブ・ジョブス追悼イベント急遽開催
『もしMacが無かったら…。スティーブ・ジョブズを偲ぶ』
日時:2011年10月8日(土)
18:30開場/19:00開演
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F tel.03-6825-5502)
米アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏が10月5日に亡くなったのを受け、渋谷アップリンク・ファクトリーで追悼イベントが急遽開催されることが決定した。
「もしMacが無かったら…」なんて世の中は想像できないぐらいにお世話になっているMacの産みの親・ジョブズ氏の訃報をうけ、当日はオープンマイクが用意され、ジョブズ氏に対するメッセージ、弔辞や想いのたけを語ることができる。
Macが無かったら今の仕事は成り立たなかったというグラフィック・デザイナーやミュージシャンからゲストを迎え、Macやスティーブ・ジョブス氏にまつわる映像や画像をつかったトーク・ショウも開催予定。参加者と出演者がともに亡き氏の冥福を祈るイベントになるだろう。
日時:2011年10月8日(土)
18:30開場/19:00開演
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F tel.03-6825-5502)
米アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏が10月5日に亡くなったのを受け、渋谷アップリンク・ファクトリーで追悼イベントが急遽開催されることが決定した。
「もしMacが無かったら…」なんて世の中は想像できないぐらいにお世話になっているMacの産みの親・ジョブズ氏の訃報をうけ、当日はオープンマイクが用意され、ジョブズ氏に対するメッセージ、弔辞や想いのたけを語ることができる。
Macが無かったら今の仕事は成り立たなかったというグラフィック・デザイナーやミュージシャンからゲストを迎え、Macやスティーブ・ジョブス氏にまつわる映像や画像をつかったトーク・ショウも開催予定。参加者と出演者がともに亡き氏の冥福を祈るイベントになるだろう。