縮小現実ってどうだろう

 
 拡張現実(AR)がじわじわと現実の製品として世に出つつあります。iPhoneでも『セカイカメラ』というARアプリがもうすぐリリースされるようです。

 iPhoneをかざすと、iPhoneの画面に目の前の情景が映し出され、そこに位置情報で紐付けされた仮想のタグが表示されます。そんな風にして、iPhoneをかざす事で、人間の感覚では捉える事ができない何かを覗き見る事ができるかのような体験ができる、現実が拡張されるわけです。

 しかし、iPhoneの性能ではまだフレームレートがそれほど高くなかったり、処理できる情報量や画面の大きさの制約によって表示できる情報に限界があったり、もう一歩進化しないと日常生活に浸透するような製品にはならない気がします。

 そこで、逆をいって縮小現実ってのはどうだろう、と思いました。

●iPhoneをかざすと、目の前の風景はモノクロに……いや、もっと絞ってカクカクの静止画に……いや、もっと削ってビルなんかしょぼいワイヤーフレームかビルのアイコンに建物の名称がテキストで表示されてるだけ、通行人とかいらない情報はカット、目的地や自分の興味がありそうなものだけ色つきで表示。

●街の看板とか広告はすべて白紙に。

●本屋に行っても興味のない本の表紙は白紙に。『読んでない本がこんなにある!時代に乗り遅れちゃうよ~』とパニックにならなくて済む。

●レストランに入ってもメニューは適当におすすめの3品くらいしか表示されない。迷わなくていい。

●石ころ帽子みたいに、縮小現実モードのiPhoneで見ると、白紙の看板に囲まれた無人の街にぽつんといるような気分になる。どこでも心地よい孤独が味わえる。

●縮小現実モードのiPhoneを持って自宅のMacを立ち上げると、Googleリーダーを見ても新着フィードは厳選された10個くらいのニュースしか表示されない。iTunesを開いても『お前はCD10枚くらいしか持ってないぞ』と表示される。フィード読みで時間を潰さず、本来の仕事に集中できる。

 まあ、だいたい冗談ですが、でも実景に情報を追加するのではなく、実景から無意味な情報をカットしてゆく事の方が、この情報まみれの世界には必要な技術なのではないかと、個人的には思います。

 iPhoneを取り出してサッとかざすと、モノクロワイヤーフレームと化した風景の中に、自分が求めているものだけがリアルに見えている、というのはちょっと格好いいのではないかと。

 まあ、コンピュータが『僕に必要なもの』が何かを言い当てられるようになるのは、今の拡張現実より難しいのかもしれませんが。
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あなたにはPCは必要ありませんって言われたい…

なるほどっ!!


…と、一瞬思ってみたものの、偶然目に入った無関心な情報からも好奇心とか結果的に感動が生まれてくる時があるんだよなぁ、とか。
「未知」に触れる、みたいなものですかね。

てな訳で、今日も無数に入ってくる情報の選別を自分の頭殻の中で精一杯やってみようと思います(笑

良いですね!面白そう!発想の転換ですね。

時間があれば、アプリケーションを作ってみようかなっと思いました。
実写画像→ワイヤフレームの変換が難しそうです。でも何か方法はあるはず・・・。

セカイカメラの考え方はucodeに近いのかな。
形態を認識するか、バーとか二次元とか諸々のコードを認識するかの違いで、
サーバー上に情報タグを次々と付加する、そんなイメージ。
スパム的な情報を除去するならコード認識の方が確実かもしれません。
ノイズを除去することで強調される現実もあるでしょう。。。ちょっと怖いな。
かなや漢字が判読できなくても、外国人観光客が携帯もってるだけで、
日本各地を自由に飛びまわれる。それで充分”拡張”される気が私はします。
国交省のまわし者じゃないけどね。

いっそ世界のすべてを「テキスト表示」するってのはどうですか?

「正面に木製のドアがある」
「鍵がかかっている」

どうする
>_

みたいな。なんか懐かしいですね(笑)

、、、と言うか、そもそも必要に迫られてないならいらないのでは、、、
自分達が産み出した道具に振り回されてませんか?
情報が多くても、気にならなければ入ってきませんし。
電話、ポケベル、携帯、メール、、、
どんどん便利になって、どんどんコミュニケーション能力が落ちてますよね。
自らが産み出した物に首を絞められてると思いますけど。
機会に認識を任せ、それを信じ込んで行動したら、人間がもっと劣化すると思います。

情報は元々膨大なものですよ。
それを吟味するからそれぞれに価値が出てくるのだと思います。
現実は情報が多すぎて吟味する時間が足りなくなり、
情報の価値を失っているような気もしますから、
情報の絞り込み機能はいいかも知れません。ただしランダム絞り込みで。

>Takashi AOKIさん
ぜひやってください。ワイヤーフレームは、リアルに実景を反映していなくても、ビルとかいい加減な立方体くらいになってもいいのではないかと思います。

>Sweetさん
それは僕も考えました。そういうロガーが欲しいです。ネックレス状のカメラで、1分おきくらいに写っているものをテキストにして保存するガジェットがあると、一日を振り返って何があったかを思い出すきっかけとして有効なのではないかと。

>Johnnyさん
道具がなかった頃は、人間の行動範囲はあまり大きくなくて、出会う人間も限られていて、コミュニケーション能力はそれほど必要なかったのではないかと思います。
 あと、冗談として誇張して書いている部分もありますので、その辺は割り引いてください。

>仏滅さん
 完全にランダムでもダメだし、完全に機械まかせでもダメだと思います。どちらも人間にとって強い興味を引くものではないので。知性のあるフィルタと、そのフィルタに頼ったら絶対でないような意外なものがバランス良く混じっているのが理想です。偶有性の設計は、ねらってやろうとすると難しいですが。
プロフィール

安倍吉俊

Author:安倍吉俊


イラストレーター。漫画集『回螺』、画集『垓層宮』発売中。
ガンガンONLINE『リューシカ・リューシカ』連載中。
代表作『lain』『NieA_7』『灰羽連盟』『TEXHNOLYZE』
Macユーザー。カメラと自転車好き。爬虫類と魚を飼育中。
何かありましたらabetc*mac.comまで(*を@に変えてください)。

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