映画: ハプニング

 
 映画の感想です。TSUTAYAで借りて観ました。

 結論から言うと、なんか理由も分からずばんばん人が死んで、理由も分からないまま終わりました。ゾンビパニック映画からゾンビ要素を全部取ったような映画でした。全く何の味もしないビスケットを2時間延々かじり続けたような感じ。

 前半は、理由も分からず突然街中の人が自殺し始め、何かのテロなのか、超常現象なのか分からないままパニックになり、『一体どんな驚きの種明かしが待っているんだろう』とちょっと期待したのですが、途中から『植物が人間に報復するために神経毒素を放出して人を自殺させている!』というトンデモ理論で話がまとまってきてしまって、正直ゲンナリしました。樹が風にざわざわしている映像をだらっと撮っただけで、観客が怖がったり気味悪がったりするとでも思ったんだろうか?いや、うまくやれば特撮も使わず想像で怖がらせることはできたかもしれないけど、なんというか、そういう意図で撮っているわけでもない気がしました。

 『植物の反乱』で話が進行し始めた時、まさかそんな幼稚な発想のわけがないし、これはミスリードで、思わせぶりな樹の映像とかも、そちらに注意を向けさせといて、ラストで全部ひっくり返して驚かせてくれるんだろう、と思っていたのですが、まさかまんまそれで終わりとは…………。

 全くわけの分からない理由で人が死に、ものすごい大量の自殺死体の映像がこれでもかとばかりに出てきますが、死に至る理由も、その人の内面も一切描かれないので(植物の毒で死ぬ人はみんな思考が停止しているので)、これだけ大量に詩を描いているのに、人が死ぬという重さや怖さが全くない。人の死を全く無感情に撮り続けるという事である種の恐怖を出そうとしたのかもしれないけど、うーん…………。

 観たのは数日前ですが、あまりに印象が薄くて、どんなラストだったかどころか、主人公の顔すらはっきり思い出せないです。

 で、結局何が言いたかったんだろう…………。まさか、植物を大切に、みたいなテーマじゃないだろうし………。

 なんというか、ここで描かれている『人類はいずれ自らの傲慢さによって滅ぶのだ』的な終末感は、僕の世代だとちょうど子供時代に文明批判、科学批判みたいな形でやたらとがなり立てられてきたことで、なんかその辺の事が原因でシャラマン監督のメッセージがすっと入ってこないのかもしれない。

 いや、そんな事も関係なくて、ただ無意味に大量に人が死に、それに対して物語の中で一切その責任を引き受けない、というシュールさを描きたかっただけかもしれない。なんか変な映画でした。

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藤子作品のSF(少し不思議)で在った「みどりの守り神」の真逆ですねぇ。

シャマラン監督なんで「オカルト好き」「人類への警鐘」ってことなんでしょうけど、「自殺シーンがたくさんあるショッキング映画」にしかなってなかったですね。僕は面白かったですけど。

自分は劇場でみたんですがそれより1ヶ月ほど前に見たスティーブン・キング原作のミストのラストの方が衝撃的でハプニングはどれだけグロい自殺の仕方ができるかってってだけの映画に感じました
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安倍吉俊

Author:安倍吉俊


イラストレーター。漫画集『回螺』、画集『垓層宮』発売中。
ガンガンONLINE『リューシカ・リューシカ』連載中。
代表作『lain』『NieA_7』『灰羽連盟』『TEXHNOLYZE』
Macユーザー。カメラと自転車好き。爬虫類と魚を飼育中。
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