分かってない。ほんとに分かってない

 
 ソニーと松下が電子書籍から撤退だそうですよ。
 ソニーといえばせっかくLIBRIeというよさげなリーダーを出したのに本のコピーを恐れてか、せっかく買っても一定期間で読めなくなる貸本方式で本を売り始めて時代の先を行ってるんだか周回遅れなんだかさっぱり分からないマネをして自滅。
 松下も、僕はΣBookを買いましたが、とにかく使いづらい!本を買うのに一苦労、PCからΣに転送するのに一苦労、しかも転送したらPCでは読めない、読むためにはΣからPCにデータを転送し直さなければならないなど、本屋で(もしくはAmazonで)文庫本買うより手間がかかって読みづらくて、何かするたびにドロボウ呼ばわりされるような端末を誰が使うんだ、と呆れたものでした。電子ブックなのにバックライトもなくて(電池の持ちとか明るい場所での視認性を取ったんでしょうけど)、jpegもPDFも扱えず、検索もできず、いったい何のための電子ブックなんだか分からないような物体でした。


 で、撤退の記事がITmediaに出ていたのですが、驚いたのがΣBookの広報担当者の言葉

ΣBookは数千台程度、Words Gearは約2400台しか売れなかった。Words Gearは当初、初年度1万台程度の出荷を見込んでいたというが「専用端末の大きさや重さがユーザーに受け入れていただけなかったのだろう」と同社広報担当者は話す。

 アホか!そこじゃねーよ!!むしろ大きさや重さはそんなに悪くはなかったんじゃないかなあと思います。
 iPodみたいにiTunesくらい使いやすいアプリと、iTunesstoreくらい使いやすい売り場があるとか、Kindleみたいに単体でネットに繋いで本が買えて、Amazonくらい本がたくさんあったら結果は全然違っていたはずです。僕の本棚の小説と漫画が全部入れられるなら5万でも10万でも買いますよ。
 もちろん、そうなるためにはいろいろと面倒な権利問題が絡んでくるのでできない部分もあったと思うのですが………。

 いっそjpegもpdfも何でも使える万能端末にしてまず本体を普及させるとか、ゲーム機みたいに本体を極限まで安くしてソフトの売り上げで回収するようなモデルにして本体を1万円切るくらいまで安くするとか、何かブックリーダー周辺に生態系が作れるくらいの爆発力があったらなあ、と思うのですが、いろんな意味で中途半端でしたね。
 少なくとも情報を持ち歩く手段としてこの500年間無敗のチャンピオンである『紙に印刷された本』と戦うにはあまりに非力でした。

 あと、確かに携帯電話がブックリーダーとして使われ始めているのはありますね。でも、どんなに頑張っても携帯の画面サイズは本を読むには適さないんですよね。

 アメリカではKindleが結構普及しているみたいだけど、日本ではまともな画面サイズのブックリーダーは普及しないのかなあ………と思っていたのですが、もしかしたらiPhoneは、使いようによっては電子ブックリーダと携帯のいいとこどりのブックリーダーとして面白い存在になるかもしれません。

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http://jp.youtube.com/watch?v=uRcAEHijNvI
こういうことですね!(違う

開発中の松下の電子ブックリーダー(たぶんΣの後継になるはずだった奴の一つ)を見た事がありますが、そいつの中では動画(wmv)再生とかふつーにしてた(ちなみにケロロ軍曹だった)ので、そういうのが出てくるんだー、と割とwktkしてたんですが……。考えてみたらその後試験にも来てないんだから頓挫したか潰れたかのどっちかですよね。
やっぱり不便な物は「一部不便でも、便利な物を越える何か」が無いと普及しないんでしょうねぇ。難しいなあ。

 ZERO3と青空子猫(青空文庫用テキストビューア)の組み合わせは、個人的にかなり良い感じです。液晶のサイズ/解像度ともに長文を読むのに必要十分ですし(まあ、もうちょっと欲しいですが)、ストレージの容量も必要十分(SDカードのファイルを認識しないのが難点ですが、どうせテキストファイルですし本体メモリで問題ありません)、めんどうなDRMがないので、本が読めなくなったりする不便もありません。
 難点といえば、アプリに本を追加するのがめんどくさい点と、これでは新刊が読めない点でしょうか。あと自分でフォント(IPA明朝とか)を追加しないと、デフォルトのMSフォントでは読みづらいとか……あ、問題ばかりだ。
 ZERO3、X02HT、Palm、シャープ製携帯、Windows(Mobile、非Mobileの両方)等でブンコビューア(XMDF)が使えるのに電子書籍があまり普及してない点を見ると、Kindleのように端末単体で完結させるか、iTunes+iPodのように購入はMac/PCでも端末への転送が超簡単とか、そんな風にしないと普及は難しいかもしれませんね。かくいう自分もブンコビューアはテキストビューアとしてしか使ってませんが……。
 (XMDFはiTunes Plusのように、コピー制限無しで購入者情報が埋め込まれる方式なので、バックアップもできるし利用者としては割と便利……なはず)
 携帯向けの電子書籍販売が好調なのは、やはり端末単体で完結していて簡単な所でしょうか。でも携帯で原稿用紙400枚分の文章を読む気にはちょっとなれません。


 紀伊国屋で回螺(発売日に)買ってきました。サイン会楽しみにしています。

所謂電子書籍ってハードレベルではそこそこの領域まできてると思うんですけど、コンテンツの扱いに不便なものが多くて、使いたいってサービスが無いのが残念です。
著作権と使い勝手の両立は難しそうですね。

毎朝wifiあたりで自動更新される新聞とか、あえて書店で電子書籍が買えれば面白そうだなと個人的には思うのですが。

これとか、iPhoneで読むにはかなりいいですよ。縦書き表示もOKですし。
http://d.hatena.ne.jp/yuuta21/20080430/1209567048

まあ、3Gでは公式配布で何かもっといいのが出るかもですが。

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安倍吉俊

Author:安倍吉俊


イラストレーター。漫画集『回螺』、画集『垓層宮』発売中。
ガンガンONLINE『リューシカ・リューシカ』連載中。
代表作『lain』『NieA_7』『灰羽連盟』『TEXHNOLYZE』
Macユーザー。カメラと自転車好き。爬虫類と魚を飼育中。
何かありましたらabetc*mac.comまで(*を@に変えてください)。

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