字幕か吹き替えか

 
 字幕作りの苦労に関するニュース記事を読みました。漢字が読めない、字幕を追い切れない若者が急増しているとか、『ソ連って何ですか?』、『ナチスって何ですか?』のように常識と思われていた言葉が通じない若者が増えたために字幕から吹き替えにシフトせざるを得ない、と言うような事のようです。
 まあ要するに『近頃の若者は……』みたいな年寄りくさいぼやき記事なんですが、若者の常識がなくなったんじゃなくて、何を常識とするかの基準が変化しているだけなんじゃないかという気もします。30年前はソ連とかナチスとかは今よりは30年分記憶に新しい、というか、常識として現役の言葉で、映画にもよく出てきていたでしょうが、いまはそれらの言葉が日常とか物語の文脈に出てくる頻度は減っている気がするので。あと、昔みたいに『ソ連=アメリカの敵』『ナチス=悪党』みたいな単純な図式ではなくなっているというのもあると思います。まあ、本当に若者の大多数が単語として『ソ連』とか『ナチス』という言葉自体を知らないのだとしたらそれは問題ですが、ごく少数の極端な例を挙げて若者全体を批判するのは筋が違う気がします。

  さらに言うなら、字幕が追い切れないのは若者がバカになったからじゃなくて、作中の会話が早くなったからじゃないでしょうか。最近よくアメリカのTVドラマを観るのですが、45分程度の時間の中でものすごい量の情報を会話の中に織り込んで説明しつつ、飽きさせないように常に3つくらいの物語が平行して展開していて、時間あたりの会話量、理解しなければいけない情報量は30年前のドラマの数倍になっていると思います。早口の会話が多い上に画面の情報量が多すぎて字幕に目をやる暇がないのだから、字幕が追えるわけがないです(まあ、全部が全部そのなに忙しいものばかりではないですが)。

 僕も最近までだいたいの映画やドラマは字幕で観ていましたが、HEROESの日本人(の役をしている中国人とか日系人)の日本語がひどさに耐えられなくて吹き替え版を試してみましたが、字幕に比べると吹き替えの方が圧倒的に語数が多いし、分かりやすかったです。
 外人が日本語を話す不自然さとか、声質の違和感はどうしてもあるので、タイトルによって字幕にしたり吹き替えにしたりしていますが、吹き替えも悪くないなあと言う気になりました。
 そもそも、画面を観なければならない時間の何割かを文字を読む事に取られてしまうと、制作者が画面から読み取って欲しいと思って配置したものの意図が伝わらなかったり、意味が変わってしまう気もしますし。字幕自体が吹き替えの設備がなかった時代の応急措置みたいなところから生まれてきた手法なので、字幕という考え方そのものを考えた方がいいのかもしれません。

 まあ、英語が聞き取れるようになるのが一番なのですが………。
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いつも楽しく拝見しております。
あまり深くは考えていないのですが個人的には吹き替えというのはどうしても好きではありません。
難しい話や会話による情報量が多い映画だと確かに字幕を追うのに精一杯になってしまうこともありますが、そもそもそういう話は1度ではなかなか理解できないです(情けないですが…)。
あとは文字を追うことに慣れていないというのもあるかもしれない。私なども多くの本などを読まないような人だと文字を追うこと、その意味を反芻するのにいっぱいになってしまいますし。
あ、でもこれは吹き替えでしゃべられるよりは映像として頭に残るので字幕の方が理解しやすいかもしれません。

海外の映画などはその時代の訛りなどもきちっとしゃべられているのでその音を消してしまうのはなんだかもったいなく思えます。
英語として聞き取れなくても単語など、ある程度のフレーズは頭に入ってきますし。

でもやっぱり一番は英語が耳で理解できるようになれるといいですね。

自分も吹き替え派ですね。

DVDで字幕をみながら吹き替え再生して比べると、吹き替えのほうがぜんぜん情報量多いですしね。字幕作家によっては全然違う説明になってたりすることもあるし、監督の意図が伝わるのは案外吹き替えのほうなんじゃないかと思います。

吹き替えのほうが制作コストがかかっているのだろうから、そっちのほうがいいのだろうという貧乏根性もありますけど…。メディアがDVDになったことも影響してるのでしょう。

吹き替え版もたまに和訳酷いですし?もちろん、字幕でも和訳があり得ないこともあります。※実際にしゃべってる言葉と英訳を比較してみるとわかります。
まぁ、確かに吹き替え版はわかりやすいかもしれませんが、ホームドラマはともかくとして、映画は基本的に字幕ですね。
小さい頃から字幕ないし本をたくさん読んできたので、読むのが苦にならないということかもしれませんが、どうしても字幕でないと作品の雰囲気が崩れてしまうような気がします。
俳優の台詞のしゃべり方も作品の一部なわけで、そこが吹き替えだとなくなってしまいますしね。
すげぇ、渋めの俳優のアフレコが三宅裕司(いや別に嫌いじゃないですよ?)とかあり得ないしw

自分も字幕派かと最初は画面の端を読んでのがそのうち自然に入ってくる感じが好きです(ぉ

字幕と吹き替えでは訳が違うのが気になります。
マトリックス1でトリニティの「よけてみな」が「よけたらどう?」になっていて辟易したことがあります。
やっぱり日本人がアフレコしなおすと雰囲気とかで伝えきれない言葉があるのかわからないですけど違ってしまう感じがすますね。

うちではアンドウのしゃべり方をまねするのがプチブームです。
HEROESの日本感のだめさは楽しいですね。飲屋街とかばかうけですね。
アンドウなんて名字じゃなくて名前ですからね。 そんな奴あった事ない!

一番日本語がうまいのはヒロのねぇちゃんでしたね。
プロフィール

安倍吉俊

Author:安倍吉俊


イラストレーター。漫画集『回螺』、画集『垓層宮』発売中。
ガンガンONLINE『リューシカ・リューシカ』連載中。
代表作『lain』『NieA_7』『灰羽連盟』『TEXHNOLYZE』
Macユーザー。カメラと自転車好き。爬虫類と魚を飼育中。
何かありましたらabetc*mac.comまで(*を@に変えてください)。

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