フェノメノ、リューシカ、enchantMOON
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ここ数日、自分の、あるいは自分が関わった仕事の発表が立て続けにありました。
まずフェノメノ参 収縮ファフロツキーズ
イラストを担当しています。フェノメノも気づけば3冊目です。内容についてはネタバレになってしまうので怖いの大丈夫な方は(そうでなくても)ぜひご一読を。
今回はカバーのイラストはずいぶん難航しました。ゲラを読んでこの篁亜矢名というキャラクターの心の内が明らかになり、構想を練りながらゲラを読み返しているうちに何かもう少し掘り下げられるのではないか、とクリンナップまで済んだ線画をボツにして別な絵を描き始めたのですが、うまくいった、と思っても線画の仕上げに入るあたりで何かが足りない気がしてきてしまい、またちょっと違う絵を描き始める、というのの繰り返しで、気づいたら荒いラフも含めて20枚くらい描いたり消したりしてしまいました。まるで目に見えない微細なヒビの入ったコップに水を注いでいるような感じで、十分に絵に力をこめたと思っても、しばらくして見返すと水位が下がってしまっているような感じでした。
読み終える前と後、この絵が作中のどのシーンなのかを知る前と後でこの人物の表情から受ける印象がじわっと変化するように描いたつもりなので、それがうまく伝わっているといいのですが。
本文のイラストに関しては、やはり見せ場を絵にしたいわけですが、そういうシーンというのは当たり前ですが文章にも力があって、そこに絵を足すと蛇足になったり文章の流れを壊してしまったりするのでどこを描くかずいぶん迷いました。3枚だと、メインのキャラクターも描きたいし新キャラも描きたいしでなかなか難しいですね。
次にリューシカ・リューシカ 6巻
何とか年2冊のペースで単行本を出せるよう頑張っています。今回、ネットで見かける感想の大半が『書店に置いていない』というもので、大変申し訳なく思っています。悲しいかな既刊を買わずに新刊を買う人は少ないので、何か大きく話題にでもならない限り巻を追うごとに初版の部数は減ってしまうもののようです。今までは発売してすぐAmazonや他のネット書店が在庫切れになって何週間も在庫切れが続く、という状態が多かったのですが、その反動なのか、今回はAmazonには在庫があって書店が品切れのようです。
紙の本に愛着はあるのですが、こういう事が続くと、早く電子書籍にしてくれ、と思ってしまいます。書店に行ったら品切れで、そのまま買わずじまいになってしまう人がずいぶんいるようなので。
できましたら、品切れの際は書店で注文していただけるとありがたいです。
Twitter用アイコン配布中です。
連載もよろしくです。最新話が無料で読めます。
3つめはenchantMOON

紙の再発明、というかっちょいいコンセプトのタブレット端末です。ペンを使った手書き入力のUIが特徴です。紙にボールペンか何かで描くような感じで描けます。
つくったのはUEIという会社。僕は筐体デザインを担当しました。

とてつもなく冒険したガジェットなのでどのくらい売れるものなのか不安だったのですが、嬉しい事に初回ロットは一日で完売し、現在予約も締め切ってしまいました。6月予定の二次ロットの予約が4/29いっぱいまでだそうです。
言葉による説明は難しいので、詳しい情報は公式サイトと社長の清水さんのブログをご覧ください。

enchantMOONに関して、色々なメディアにとりあげられて話題になり、ものすごく期待のハードルが上がっている気がします。
新しさ、面白さ、得体のしれなさ(笑)に関しては期待に応えられるものになっていると思います。便利さとか実用性とか何かの実務に即戦力で投入できる製品か、と言われると、先日の発表会で触らせてもらった感じでは、正直まだ未知数です。肝であるペンタッチも、2月のカウボーイ大会の時から少し変わっていて、インクが出すぎている万年筆みたいに書き出しがポツッと点状に太くなる癖があったり(製品版では直っていると思います)、指で入力するコマンドも反応が不安定だったり遅くなったりしていました。※4/29追記。修正されました。
色々な機能を追加してくれるアプリも出揃うのは製品が発売されてしばらく経ってからだと思います。

たとえば僕はenchantMOONを漫画のネーム描き用に使おうと思っています。僕は通常複数のマシンで描いた絵を共有するためにdropboxを使っているのですが、enchantMOONにはまだ描いた絵をdropboxに転送する手段が今はありません。
幸いevernoteは対応しているようなのでそれで凌げそうですが、まあそういったこまごまとした作業環境が整うのにはある程度時間がかかるでしょう。

考えてみるとiPhoneですら初代の頃は不具合も多く、コピペもフリック入力もできないという状態でした。でも僕はそれを不便とはあまり感じなくて、むしろOSのバージョンが上がって機能が増えるたびに、最新のハードを買ったときのようなわくわくする気持ちを繰り返し味わう事ができて得したなあと思いました。これは成熟したハードでは体験できない楽しさで、この感覚が分かる人は初回ロットのenchantMOONを買ってもたぶん後悔しないでしょう。
個人的には、10万近くするのでは……と思っていたので39800円という価格は衝撃でした。この価格なら自分が製作に関わったという事を差し引いても迷わず買っていたと思いますし、実際、この価格を実現するために関係者に無料配布とかもないので一台買いました(関係者は千円割引だそうです)。
一般的なタブレット端末は次々に性能の上がった新機種が出るので、iPadですら発売から数年経てば価値は激減します。しかしenchantMOONの『紙とペンのように描ける』という根幹の部分は、紙とペンが既に成熟した道具であるために数年後もその先も同じ価値を持ち続けるはずです。
でもまあ、人を選びます。上の説明と公式サイトの情報でピンと来た方はぜひ。
まずフェノメノ参 収縮ファフロツキーズ
イラストを担当しています。フェノメノも気づけば3冊目です。内容についてはネタバレになってしまうので怖いの大丈夫な方は(そうでなくても)ぜひご一読を。
今回はカバーのイラストはずいぶん難航しました。ゲラを読んでこの篁亜矢名というキャラクターの心の内が明らかになり、構想を練りながらゲラを読み返しているうちに何かもう少し掘り下げられるのではないか、とクリンナップまで済んだ線画をボツにして別な絵を描き始めたのですが、うまくいった、と思っても線画の仕上げに入るあたりで何かが足りない気がしてきてしまい、またちょっと違う絵を描き始める、というのの繰り返しで、気づいたら荒いラフも含めて20枚くらい描いたり消したりしてしまいました。まるで目に見えない微細なヒビの入ったコップに水を注いでいるような感じで、十分に絵に力をこめたと思っても、しばらくして見返すと水位が下がってしまっているような感じでした。
読み終える前と後、この絵が作中のどのシーンなのかを知る前と後でこの人物の表情から受ける印象がじわっと変化するように描いたつもりなので、それがうまく伝わっているといいのですが。
本文のイラストに関しては、やはり見せ場を絵にしたいわけですが、そういうシーンというのは当たり前ですが文章にも力があって、そこに絵を足すと蛇足になったり文章の流れを壊してしまったりするのでどこを描くかずいぶん迷いました。3枚だと、メインのキャラクターも描きたいし新キャラも描きたいしでなかなか難しいですね。
次にリューシカ・リューシカ 6巻
何とか年2冊のペースで単行本を出せるよう頑張っています。今回、ネットで見かける感想の大半が『書店に置いていない』というもので、大変申し訳なく思っています。悲しいかな既刊を買わずに新刊を買う人は少ないので、何か大きく話題にでもならない限り巻を追うごとに初版の部数は減ってしまうもののようです。今までは発売してすぐAmazonや他のネット書店が在庫切れになって何週間も在庫切れが続く、という状態が多かったのですが、その反動なのか、今回はAmazonには在庫があって書店が品切れのようです。
紙の本に愛着はあるのですが、こういう事が続くと、早く電子書籍にしてくれ、と思ってしまいます。書店に行ったら品切れで、そのまま買わずじまいになってしまう人がずいぶんいるようなので。
できましたら、品切れの際は書店で注文していただけるとありがたいです。
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連載もよろしくです。最新話が無料で読めます。
3つめはenchantMOON

紙の再発明、というかっちょいいコンセプトのタブレット端末です。ペンを使った手書き入力のUIが特徴です。紙にボールペンか何かで描くような感じで描けます。
つくったのはUEIという会社。僕は筐体デザインを担当しました。

とてつもなく冒険したガジェットなのでどのくらい売れるものなのか不安だったのですが、嬉しい事に初回ロットは一日で完売し、
言葉による説明は難しいので、詳しい情報は公式サイトと社長の清水さんのブログをご覧ください。

enchantMOONに関して、色々なメディアにとりあげられて話題になり、ものすごく期待のハードルが上がっている気がします。
新しさ、面白さ、得体のしれなさ(笑)に関しては期待に応えられるものになっていると思います。便利さとか実用性とか何かの実務に即戦力で投入できる製品か、と言われると、先日の発表会で触らせてもらった感じでは、正直まだ未知数です。肝であるペンタッチも、2月のカウボーイ大会の時から少し変わっていて、インクが出すぎている万年筆みたいに書き出しがポツッと点状に太くなる癖があったり(製品版では直っていると思います)、指で入力するコマンドも反応が不安定だったり遅くなったりしていました。※4/29追記。修正されました。
色々な機能を追加してくれるアプリも出揃うのは製品が発売されてしばらく経ってからだと思います。

たとえば僕はenchantMOONを漫画のネーム描き用に使おうと思っています。僕は通常複数のマシンで描いた絵を共有するためにdropboxを使っているのですが、enchantMOONにはまだ描いた絵をdropboxに転送する手段が今はありません。
幸いevernoteは対応しているようなのでそれで凌げそうですが、まあそういったこまごまとした作業環境が整うのにはある程度時間がかかるでしょう。

考えてみるとiPhoneですら初代の頃は不具合も多く、コピペもフリック入力もできないという状態でした。でも僕はそれを不便とはあまり感じなくて、むしろOSのバージョンが上がって機能が増えるたびに、最新のハードを買ったときのようなわくわくする気持ちを繰り返し味わう事ができて得したなあと思いました。これは成熟したハードでは体験できない楽しさで、この感覚が分かる人は初回ロットのenchantMOONを買ってもたぶん後悔しないでしょう。
個人的には、10万近くするのでは……と思っていたので39800円という価格は衝撃でした。この価格なら自分が製作に関わったという事を差し引いても迷わず買っていたと思いますし、実際、この価格を実現するために関係者に無料配布とかもないので一台買いました(関係者は千円割引だそうです)。
一般的なタブレット端末は次々に性能の上がった新機種が出るので、iPadですら発売から数年経てば価値は激減します。しかしenchantMOONの『紙とペンのように描ける』という根幹の部分は、紙とペンが既に成熟した道具であるために数年後もその先も同じ価値を持ち続けるはずです。
でもまあ、人を選びます。上の説明と公式サイトの情報でピンと来た方はぜひ。
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