3月5日の明け方に見た夢。

20080305夢

白いベッドに寝かされている。何かの手術をしなければならない。医師と看護婦がいて、僕に手術についての説明をしている。
右の脇腹あたりに直径3cm程度の丸い穴を開けて、管のようなものを入れなければいけない、という。
医師は、手にしていたメスで僕の脇腹に無造作にくるりと丸を描いて『だいたいこの辺り』と説明する。刃物がちょっと恐ろしいのと、
自分の脇腹が思ったより弛んでいて、もう少し絞っておいた方が手術が楽だったかもしれない、と後悔する。
看護婦が鉄のキャスターにブラウン管のテレビとビデオデッキを乗せてガラガラと運んでくる。どちらもちょっと古くさいが、夢の中では特に古いとは思わなかった。
医師が手術の説明を始める。おもむろに、脇腹に麻酔の注射を打つ映像が流れる。『こんな風に最初に麻酔を打つのです』と医師。
テレビに映された、麻酔を打たれている男は、顔は映らないのだが、脇腹が弛んでいて、自分だと分かる。自分の手術の説明ビデオに何で自分が映っているのか、と一瞬思うが、医師がどんどん説明を続けていて、考える暇がない。
『……この映像をしっかり観ておく事が大切なのです。まず、麻酔を打つ前に、患者さんにこうやって、麻酔を打つ映像を見せておくのです。しっかり観てください。こうやって自分が麻酔を打たれる映像を観たあとで麻酔を打つとですね、眠ったあとで、自分が麻酔を打たれている、という夢を見るわけです。そうやってね、麻酔を打たれて眠る夢を見ながら麻酔を打たれて眠ると、麻酔がより深く効くのです。これがすごく大切です。分かりますか?』
 と言われ、なるほどそれは理にかなっている、と納得する。と、医師が不意に
『ところで、実はずいぶん前にあなたにはすでに麻酔を打っていて、今あなたはぐっすり眠っているわけですが、それを自覚してます?』と言った。
 一瞬ぽかんとしたあとにびっくりして跳ね起きた。
 起きたあともしばらく脇腹がむずむずした。
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テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

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お久しぶりですー。
夢ということで。偶然に、というか、たまたま僕も夢を見まして、しかも、なぜか安倍くんの家に遊びに行くという夢だったんでビックリしちゃいました。内容は手術とか関係なかったけど。
自分、あんまり夢見ない人なんですけどね。
そんだけなんですけど、、。
そうだ、新しい家遊びに行かないと!
ではでは。

そのままショートショート(短編小説)に、
もしくは短編漫画にできそうな
ナイスなループですね!

いつも楽しく見させていただいています。

この夢、情景もそうなのですが医師の話し方から
夢野久作の『ドグラ・マグラ』が思い起こされました。

なんだか安部公房さんの文章をみているようです。
「笑う月」に出てきそうな…

初コメントとなります
おじゃまします
この記事を読んで、今僕が読んでいる奥泉光さんの「プラトン学園」のことを思い出しました
もしかしたら今僕らが「起きている」と思っているこの世界でさえ夢かもしれませんね

>オサムさん
ご無沙汰です。ぜひぜひ。僕は最近わりと夢を見ます。見る時期と見ない時期がありますね。

>みなさん
ドグラ・マグラも安部公房も奥泉光もまだ読んでないです。夢野久作は少女地獄は漠然と読んだ記憶があります。
 小説っぽいのは、たぶん今文章で物語を書いている最中だからだと思います。僕の場合は物語をつくっている時は、わりとオチが利いているような夢を見る事が多いです。

私なんかは「夢の進行に脳の作劇能力が追いつかなくなった事を自覚して目が覚める」ってパターンが多いので、こういうオチ(夢オチ?(苦笑))が付くってのは羨ましかったり。
プロフィール

安倍吉俊

Author:安倍吉俊


イラストレーター。漫画集『回螺』、画集『垓層宮』発売中。
ガンガンONLINE『リューシカ・リューシカ』連載中。
代表作『lain』『NieA_7』『灰羽連盟』『TEXHNOLYZE』
Macユーザー。カメラと自転車好き。爬虫類と魚を飼育中。
何かありましたらabetc*mac.comまで(*を@に変えてください)。

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